俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(まさかの不況で、私の働き口がないの!?)

雑貨店に客が数人来店し、アリスは邪魔だとばかりに外に押し出された。

王都に着いた時には、太陽は真上近くに明るく輝いていたというのに、辺りはすっかり夕暮れである。

あと三十分もすれば夜になる。

職と住む場所を得て、今夜は久しぶりにベッドで眠れると思っていたのに、なにひとつ達成していない。

「どうしよう。お金もないし、働かないと生きていけないのに……」

アリスが汚れたエプロンドレスのポケットを探ると、コインが三枚。

二食分のパンを買えばなくなってしまう金額で、それが全財産である。

周囲に建つ二階建て民家では夕食の支度をしているのか、おいしそうな香りが煙とともに煙突から流れてきて、アリスのお腹が鳴った。

(パンを買おうか。ううん、駄目。我慢よ。このコインはいざという時のために取っておかないと……)

道を行き交う人が少なくなってきた。

あてのないアリスがトボトボと細道を歩いていたら、ドアの横に早くもランプを灯している店を見つけた。

近づくと店内から賑やかな声が漏れており、その看板には“美女酒場”と書いてある。

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