俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(ここは、若い女性が男の人に濃厚な接客をする酒場よね?)

アリス以外は男兄弟のため、そういう情報が自然と耳に入ってくる。

大きな町には美女酒場という店があり、店員は美女ぞろい。男にとって天国のような場所だと長兄が話していて、他の兄弟たちが興奮していた。

(ここなら雇ってくれそう。だって私は村一番の美女だもの。でも、嫌だな……)

思わず顔をしかめたのは、デイブの顔が頭に浮かんだためである。

デイブのような客が来ても、隣に座ってニコニコしなければならないのだろう。

これまでアリスは男性にベタベタしたことはなく、色気で誘うなどという行為は、性格上、無理な気もした。

(嫌だけど、ここ以外に雇ってくれそうな店はない。背に腹はかえられない。お金がないと生きていけないもの、どんな仕事でも頑張らないと……)

意を決して木目のドアを開け、酒場に入ると、赤ら顔の酔客たちの楽しげな声がした。

店内はカウンター席と、四人掛けのテーブル席が四つあり、椅子は布張りで壁紙は蔦模様。アリスにしたら豪華に思える内装だ。

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