俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
手綱を握るアリスの指示に忠実に、馬は右に旋回し、そこからまた速度を上げた。

狙うは、百五十メートルほど先で馬を止めているグレンだ。

それまで余裕の表情であったグレンは、若干、頬を引きつらせ、忌々しげに右手の木剣を構えた。

「見習いごときが生意気な。返り討ちにしてやる」

(勝負……!)

アリスは手綱を離して、両手で木剣を握ると、至近距離でのすれ違いざまに、グレンを斬りつけた。

丈夫な白樫で作られた木剣が欠けるほどに激しく交わり、訓練場に甲高い音が響く。

木剣とともに、ひとりが弾き飛ばされるように落馬した。

急いで手綱を引いて馬を止め、アリスが振り向くと、グレンが赤土の地面にうつ伏せで横たわっていた。

訓練場内は、馬の鼻息が聞こえるほどに静まり返っている。

八十人ほどの騎士たちの中で、誰かがポツリと呟く。

「見習いが、勝ちやがったよ……」

それを皮切りにワッと歓声が沸いて、アリスを称える声で一気に賑やかになった。

そのような中でアリスは馬を降り、急いでグレンに駆け寄る。

「グレンさん、大丈夫ですか? お怪我は?」

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