俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(もしかして、私が女扱いしてほしいと願っているから、騎士団長から優しさを感じてしまうのか。いや、違う。女だとバレたら身の破滅。私はそんなこと思ってない……)

頬に触れていた騎士団長の手が離されたので、アリスは半歩、後ずさり、ドアに背をぶつけた。

微かに漂うこの甘い雰囲気を断たねば、鼓動を静められないからだ。

けれども離した距離はすぐに詰められ、アリスの顔の右横に、逞しい片腕が突き立てられた。

再び至近距離で見下ろされ、アリスは顔に熱が集中するのを感じる。

(この腕はなに? 男同士で、こんなことするものなの……?)

これまで村から一歩も出たことがなかったので、都会の常識を知らないことは自覚している。

そんなアリスでも、この状況はおかしいと気づく。

(ひょっとして、ロイ騎士団長は男色……?)

そのように怪しんだが、以前、医師長に教えられた少年時代の話を思い出した。

娘たちに構われても喜ばない騎士団長に、男色なのかと聞いたら、否定された話だ。

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