俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
たしか、『好きだと思える相手がいない。そういう女が現れたら、恋人にしたくなると思うけど、今はまだいい』という返事をされたと、言っていた気がする。

(男色じゃないならどうして? 私は女だけど女じゃないのに……)

混乱を深めるアリスの気持ちは伝わっていないらしく、騎士団長は息がかかりそうな距離で、先ほどの騎馬戦について話しだす。

「見てはいなかったが、想像はつく。おそらくグレンは、お前が距離を取ろうとしても、ピタリとついてきたのだろう」

(そ、そうですけど……今、ピタリとついているのは騎士団長です。私の耳に左腕が当たっているし、右手で頬を撫でていることに意識がありますか?)

「グレンを振り切ったのは大したものだ。そこから一気に距離を詰め、一撃で仕留めたんだな。それも見事だ」

(今は私が一気に距離を詰められてます。顔がくっつきそうで、仕留められそう……)

騎士団長が、突き立てている腕の肘を曲げたから、ふたりの頬が触れそうである。

抱きしめられる寸前のような距離感が数秒続いている間、アリスの心は大忙しだ。

けれども微動だにできず、声も出せずに固まるのみ。

< 122 / 228 >

この作品をシェア

pagetop