俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(ロイ騎士団長の髪から、石鹸のいい香りがする……なんて思ったら駄目。触れそうで触れない頬がもどかしい……なんて思ったら駄目。抱きしめられたいなんて、思ったら駄目。女の子に見られたいなんて、絶対に思っちゃ駄目だっぺーっ!)

少しでも刺激を減らそうと目を固く閉じたアリスだが、ドア越しに数人の話し声がして、ハッと目を開けた。

先ほど、正午を知らせる教会の鐘の音が遠くから聞こえていた。

訓練中の騎士たちが昼の休憩に入ったのだろう。

もしかするとここに、武具をしまいに来たのかもしれない。

その声は騎士団長にも聞こえていたようで、アリスからスッと離れると、口の端をニッとつり上げてから普通の口調で指示をする。

「昼食時間だな。先に行け。ふたりでここにいたことを他言するなよ」

「は、はい。失礼します」

熱の引かない顔のままで敬礼したアリスは、急いでドアを開けて廊下に出た。

話し声の主はパトリックと、先輩従騎士ふたりであった。

確か彼らは、王都で起きた強盗事件の捜査に、出掛けていたはずだ。

武具をしまいに来たのではなく、捜査の報告をしに戻ったところなのだろう。

< 123 / 228 >

この作品をシェア

pagetop