俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
詰所の中ほどには、騎士団長、副騎士団長、その他数人の上層部の正騎士たちが合同で使う執務室がある。

アリスに気づいて足を止めたパトリックが、「やあ」と声をかけてきた。

「パトリック、捜査は終わったんだね。お疲れ様」

「ありがとう。アリュースは、剣を片付けていたのか?」

「そ、そんなところ……。これから食堂に行くんだ。それじゃ」

赤い顔に気づかれる前にと、アリスが爪先を出口の方へ向けたら、パトリックが反対側に一歩踏み出しながら手を振った。

「ロイ騎士団長に報告を終えたら、俺も食堂へ行くよ。また後で」

「う、うん」

騎士団長は執務室ではなく武具保管庫にいると、教えてあげられない。

心の中で詫びたアリスは、いまだ落ち着かない気持ちを抱えて、詰所から走り出たのであった。


それから八日は心を乱すような出来事はなく、忙しくも平穏の中で日は過ぎた。

時刻は十五時。

今日はアリスに大事な任務が与えられ、気を引きしめて配置についている。

とは言っても、コズメル盗賊団の時のような戦闘はない、ただの警備である。

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