俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
そして、吹き出しそうになった。
(まるっきり、似合わない)
アリスの髪は短く、肌は日焼けして貴族令嬢のような透き通る白さを失い、鼻の付け根にはそばかすを散らしている。
村にいた頃から土埃にまみれて働き、化粧は一度もしたことがない。
そんな自分が豪華なドレスを着たら、道化師みたいだと思っていた。
(いけない。馬鹿な想像していないで集中しないと。騎士たる者、先々の危険を予測して回避できるよう、常に緊張感をもって職務に当たるべし。ロイ騎士団長にそう教えてもらったんだ。城内の平和なお茶会には、なんの危険もなさそうだけどね……)
お菓子を食べ、紅茶を優雅に楽しむ貴族たち。
給仕するメイドや従僕が二十人ほどいて、宮殿と庭を往復している。
働く彼らとしてはきっと、屋敷内でお茶会を開いてほしかったことだろう。
芝生があるのでワゴンは使えず、トレーにのせた紅茶のお代わりを慎重かつ急いで運んでおり、何度も往復するのが大変そうだ。
一方、警備にあたる騎士六人は、レンガ敷きのお茶会会場を遠巻きに囲うように立っているだけなので、暇である。