俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
任務の時にはアリスも他の騎士と同じように真剣を携えているが、抜くのはコズメルと対峙した時、以来である。

(樽乗り自体は簡単だけど、踊るように剣術の型をやって見せるとなると、結構、難しいかも……)

目で合図を送ると、楽士が軽快な音楽を奏で始める。

それに合わせて、アリスは剣を操る。

正面斬り、左右の斜め斬り、薙ぎ払いに突き、下から上への斬り上げに、防御からの回し斬り。

樽乗りしながらの剣舞など、聞いたことも見たこともない芸当である。

貴族青年たちからは声援が送られ、令嬢方の上品な口元からは感嘆のため息がこぼれる。

観客たちの盛り上がりはアリスに伝わっており、場の雰囲気と音楽に乗せられて次第に楽しくなってきた。

足で樽を転がして移動しながら、剣を頭上でヒュンヒュンと回して見せ、ジャンプしたり、逆立ちしたりと、まるで本物の曲芸師の如きだ。

十分ほどで演奏は終わり、ワイン樽からピョンと飛び降りて剣を鞘に納めたアリスは、右手を胸にあててお辞儀をした。

拍手喝采が浴びせられ、興奮した様子の王太子が満面の笑みで駆け寄る。

「素晴らしいじゃないか! 君、名はなんという?」

< 132 / 228 >

この作品をシェア

pagetop