俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
これはグレンが自らの意思で頭を下げていると思っていいだろう。

急に低姿勢になった理由は、アリスに助けられたことを、深く感謝しているからに違いない。

そうなると、後ろめたいような思いがして、アリスの胸はチクリと痛む。

「グレンさん、顔をあげてください。僕は、その、剣は受け止めましたけど、王太子殿下になにも言えなかったんです。許すようにお願いしてくれたのは、あのご令嬢ですよ」

「わかっている。だが、お前に一番、感謝すべきだと思っている。貴族令嬢も含め、招待客たちが皆、俺をかばってくれたのは、お前がそうするように仕向けたからだろ?」

「そうかもしれませんけど、僕はただ、グレンさんが退団なんてことになったら、僕のせいのような気がして、それが嫌だっただけで……」

いわば自己保身からのものであり、純粋にグレンを心配していたわけではない。

それを正直に打ち明けると、グレンはやっと顔を上げた。

しかめられたその顔を見て、恩を着せたままの方がよかったかと後悔しかけたが、どうも怒っているのとは違う様子である。

グレンの細い瞳は左右に揺れて、頬は淡く色づき、口を引き結んでいる。

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