俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(一緒のベッドでなんて、なにもされなくても緊張して眠れない。断らないと……でも、もう少し側にいたい気も……)

アリスは足を前に出したり下げたりして、迷っていた。

すると騎士団長がくつくつと笑いながら、楽しげに叱る。

「迷うな。冗談に決まっているだろ。お前が騎士として生きていきたいというから、俺は我慢してやってるんだ。お前がそんなことだと、我慢が馬鹿らしくなる。しっかりしろ」

「は、はい。すみません……」

(その叱り方、理不尽でものすごく恥ずかしい……)

アリスはぺこりと会釈すると、今度こそ自分の部屋に逃げ込んだ。

訓練の疲れよりも心の疲労が大きく、胸に手をあてて大きく息を吐きだした。


翌日、十三時過ぎの王都の空には、今にも雨が降り出しそうな雨雲が広がっている。

国王の住まう王宮には尖塔がそびえ、てっぺんに見張り台がある。

王城周囲に異変がないかを、二十四時間体制で、騎士たちが見張っている。

王都で火事や大きな騒動があっても、見張り台から双眼鏡で確認できた。

アリスは今、その任務にあたっている。

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