俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
七階建て相当の見張り台は地上よりも強い風が吹き、マントなしでは凍えてしまう。

アリスは厚手のマントの襟を引き合わせて寒さに耐えながら、双眼鏡で周囲を見回していた。

すると正門から、二頭引きの立派な馬車が入ってきた。

王家のものとは違う紋章がついており、どこかの貴族が来城したようだ。

(もしかして、プリッドモア公爵……総帥が乗っているのかも)

そう予想したのは、昨夜、騎士団長が、隣国の不穏な動きについて、総帥に報告するようなことを言っていたからだ。

広大な前庭を馬車はまっすぐ宮殿に向かっており、総帥は詰所に入る前に、国王陛下に謁見するつもりなのかもしれない。

(どんな顔の人なんだろう。怠け者で威張ると聞いたら、ついデイブを思い出してしまう。まさか棒つきキャンディーを持ち歩いてはいないよね?)

総帥が乗っていると思しき馬車にアリスが気を取られていると、後ろから肩をポンと叩かれた。

「わっ、あ……パトリック。もう交代時間になった?」

「なったよ。なに見ていたんだ?」

「あの馬車。総帥が乗っているんじゃないかと思って。パトリックは会ったことある?」

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