俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
ほぼ真下にとめられた馬車を覗いたパトリックは、首を横に振った。

「まだお目にかかったことはない。無用の長物だと聞いたから、会いたくもないけどな」

(無用の長物って、邪魔者ってこと? 医師長だけじゃなく、他の騎士も陰で悪く言っていたんだ……)

パトリックと見張りを交代したアリスは、尖塔を駆け下りて外へ出た。

地上はマントが必要なほど寒くはなく、すぐに脱いでしまいにいく。

詰所の武具保管庫の隣は防寒具やブーツ、洗い替えの騎士服などがしまわれており、そこから出たアリスは、通路を出入り口の方へ引き返す。

この後は訓練に参加するが、その前に少し遅い昼食を取るつもりでいる。

村を出てから半年ほども経てば、少食であった胃袋も鍛えられ、一人前はペロリと食べられるようになった。

食べることも仕事の内だと騎士団長に教えられた結果である。

今日のメニューはなんだろうと楽しみに外へ出ようとしたら、入ってきた誰かと鉢合わせた。

その人は騎士服を着ていない。

羽根のついたベレー帽をかぶり、襟もとのジャボには真っ赤な宝石のブローチが留められている。

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