俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
突然舞い込んだ縁談話を真剣に考えている最中なのではないかと、アリスは心配し、心の中でうろたえる。

(どうしよう。相手が貴族令嬢なら、私に勝ち目はない)

そう思った直後にハタと気づく。

(私は騎士なんだ。恋愛も結婚もない。ロイ騎士団長の縁談に反対するのは、おかしい立場にあるんだ……)

心に冷たい風が吹いた気がして、自分の体を両手で守るように抱きしめ、俯いた。

目が潤んできたが、泣くまいと唇を噛んで耐える。

結婚しないでとは口が裂けても言えないけれど、心が嫌だと悲鳴を上げていた。

(私、こんなにもロイ騎士団長を好きになっていたんだ。知らなかった……)

それを思い知らされたところで、失恋は決定的である。

木目のテーブルを悲痛な思いでじっと見つめるアリスは、視線を感じた。

それが誰のものであるかわからないが、すぐにロイ騎士団長の冷静な声が聞こえる。

「せっかくのお話ですが、私には心に決めた女性がおりますゆえ、お断りいたします」

(え……?)

アリスが驚いて顔を上げると、騎士団長と視線が交わる。

口元をわずかに弓なりにし、優しい顔を見せてくれた。

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