俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
ドアを開閉する音に、挨拶を交わす声、階段に向かう靴音などだ。

騎士の朝は早い。

起床して身支度を整えたら、朝食の前に訓練場に集合する。

そこで騎士団長が、その日の全体指示を出すのだ。

唇が重なる前に騎士団長が、ハッとした顔で飛び起きた。

「今、何時だ?」

「もうすぐ六時四十分です」

「しまった。寝過ごした。朝礼の前にやらねばならない仕事があったんだ。もっと早く起こせ」

(え……私、なんで叱られてるの? さっきまでの甘い雰囲気はどこへ……)

着替え始めた騎士団長を見ないように背を向け、キスを逃したことを惜しんでいたら、問いかけられる。

「夢を見ていた気がするんだが、思い出せない。俺はなにか寝言を言ったか?」

「い、いえ。言ってません」

「そうか」

抱きたいのを我慢していると言われたことは、胸に秘めることにする。

性別を偽って騎士団に飛び込む勇気があっても、恋愛事は奥手である。

ウブなアリスには到底言えぬ言葉であった。


訓練と任務で忙しく時間が過ぎ、十五時になる。

隣国は不穏な動きを見せていても、まだ国軍が調査中であり、王都の平和は保たれている。

< 188 / 228 >

この作品をシェア

pagetop