俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
総帥の顔を見て、アリスの中に不快感や緊張が押し寄せる。

(なにしに来たの? まさかエリアル嬢のことで、またなにか言いにきたんじゃ……)

そのような焦りが湧いたが、それならば騎士団長とふたりで話をすればいいはずで、アリスを含めた騎士たちを集める必要はない。

なぜ呼ばれたのかがわからぬままパトリックの隣に並んで姿勢を正すと、騎士団長が真顔でアリスに言う。

「マレイン王国に留学されている王太子殿下の件だ」

王太子の留学の話は、八日前にも聞いた。

軍部の調査でマレイン王国がバルムンド帝国に寝返った疑惑が深まれば、向こうに気づかれぬよう、秘密裏に王太子殿下を国内に連れ戻す必要がある。

それは騎士団の役目であるという説明であった。

それが現実のものとなったそうだ。

これは一大事だと、アリスは真剣に耳を傾ける。

しかしながら、まだ自分が呼ばれた理由を察していない。

騎士団長は一度言葉を切り、小さく息を吐く。

ここからは本意ではないと言いたげな顔をして、アリスに命令を下した。

「救出部隊は、目立たぬよう少数精鋭にした。俺を含めた五人。それに加えてアリュース、お前もだ」

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