俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
マレイン側がいつ敵対を表明するか危ぶまれる状況であるため、これ以上は引き延ばせない。

それで昨夜、拠点としている宿屋にて、多少手荒でも救出を実行すると騎士団長が決断したのだ。

建物の間に潜むアリスの隣には騎士団長がいる。

その鋭い瞳は、薄曇りの空の下に延びる石畳の通りを、じっと見張っていた。

ここは王太子の通学路で、王太子と近侍は、今朝は徒歩で学院へと出かけていった。

帰りも歩くと思われる。

滞在している屋敷までは十分ほどの距離であり、その間に接触する作戦を立てていた。

道幅は三メートルほどで、ここが一番狭く、比較的人通りも少ない場所である。

向かい側の建物の間にも、救出部隊の騎士たちがいる。

アリスを含めて六人いる騎士たちは、ふたりずつに分かれ、この通りの三か所に潜んでいた。

アリスはゴクリと喉を鳴らす。

緊張の中で王太子が通りかかるのを、じっと待つ。

この街で一番大きな教会には、天まで届きそうな鐘楼がそびえている。

その鐘が鳴り響いた。

十五時を知らせる鐘である。

その余韻が石壁に吸い込まれるように消えたら、男性の話し声が遠くから聞こえてきた。

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