俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
王太子は騎士団長の背中に掴まるようにして、ふたり乗りでこの町まで来たのだ。

追手がいつ現れるかもしれない状況で急いでいるというのに、男性ふたりを乗せれば馬の脚は遅くなる。

四十分で着く予定が、一時間かかったのは誤算であった。

初冬の風は冷たく、王太子は寒そうにマントの前合わせを押さえている。

そろそろ雪が降ってもおかしくない。

日は短くなり、西の空がぼんやりとした茜色に染まっている。

あと三十分もすれば日没だろう。

急いでいる理由には、それもある。

マレイン王国とコルドニア王国の間に流れるライル川には、大橋がかけられているのだが、そこには両国で別々の関所が設けられている。

関所の門は日没と同時に閉まり、夜間は通行できないのだ。

一行は早足で進み、やっと道の先に、ライル川と大橋が見えた。

大橋は石造りで幅は五メートルほど、長さは一キロメートルほどにもなる。

七日前にあの橋を渡ってきたが、その時のアリスは胃が痛むほどの緊張を感じていた。

明らかに能力不足なのは自覚しているので、張り切って活躍しようなどとは思えなかった。

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