俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
会議室で騎士団長が呟いていた言葉が、ずっと心に引っかかっていた。

アリスがいては、騎士団長がかえって戦いにくいだろう。

(足手まといにだけは、なってはいけない……)

情けないが、それが自分にできる最大の助力だと思っていた。

けれども騎士団長に「駄目だ」と却下される。

理由は教えてくれない。

苦し気に顔をしかめ、「黙って指示に従え」と命じられただけであった。

「はい。すみません……」

(私を守ろうと思っての振り分けなら、申し訳ない。やはり私は、騎士団長の足を引っ張る存在なのか……)

肩を落としている暇はなく、近侍と他の騎士たちは倉庫裏から出ていく。

橋より下流側に船着き場があり、ライル川を使って交易を行う商船が、何隻も停泊しているはずだ。

パトリックたちは金を払って、渡し船の交渉をする。

敵兵に囲まれて戦闘が始まるのは、その最中か、それとも乗船してからなのか。

全員が命を落とさずに帰還できるかは、未知数である。

寝食を共にした仲間との別れに、アリスは胸に迫りくるものを感じている。

特に同室も経験したパトリックの無事を祈らずにはいられない。

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