俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
これが最後になるかもしれないと思えば、鼻の奥にツンとしたものが込み上げるが、感傷に浸っていられない状況にあるのもわかっていた。

数分して、アリスたちも路地裏を出た。

大橋は目と鼻の先である。

騎士団長が言った通り、入国時より警備の兵が増えている。

橋のたもとには出入りを見張るように四人の兵が立ち、川沿いの道にも兵服の男たちが十数人、鋭い眼光でうろうろしていた。

三人は王太子を真ん中に、横並びで橋に向かう。

「お、おい……」

大丈夫なのかと言いたげに、王太子が騎士団長に声をかけていた。

「怯えてはいけません」

それだけ応えて、兵士と視線を合わせないようにしながら、騎士団長は一定の速度を守って進む。

橋のたもとに立つ兵士の前に差し掛かろうとしたら、下流の方で騒ぎが起きた。

兵士たちは下流に振り向くと、一斉に駆け出し、往来の旅人や商人たちが何事かと、足を止めていた。

(ついに戦闘が始まったんだ。パトリック……)

パトリックが救出部隊に選ばれたのは、アリスと違って実力者であるからだ。

入団してわずか半年ほどであるのに、正騎士と互角に戦える力がある。

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