俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
パトリックなら死なずに帰還するはずだとアリスは信じることにして、不安を打ち消そうとしていた。

人の心配をしている場合ではないことも、百も承知である。

沈みゆく太陽は、西の端にほんのわずかに顔を覗かせているのみで、日没はすぐそこに迫っていた。

マレイン側の関所は、橋のたもとから三百メートルほどの場所に設けられている。

まだ閉められていない両開きの鉄柵の門の前には、関所を管理する役人と、入国時より多い兵士の姿が見える。

その数、十人ほどだろうか。

関所は入国者の足を止めさせ、台帳に氏名などを記入させるが、出国者はよほどの不審者でない限り声をかけない。

それはコルドニア側の関所も同じである。

けれども今は、出国の者たちも足を止められ、入念に調べられているようだ。

パトリックたちのおとりがうまく機能し、アリスたちは兵士に声をかけられることなく、橋に一歩を踏み出すことができた。

王太子は気が急いているのか、必要以上に早足になり、騎士団長に注意される。

「まだ時間の猶予はあります。普通に歩いてください。不審に思われます」

「すまん……」

王太子がやや歩速を緩める。

< 207 / 228 >

この作品をシェア

pagetop