俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
橋を十メートルほど進んだところで、前方からきた旅商人と思しき男がやってきた。

背に大きな荷物を積んだ栗毛の馬を一頭引いて、歩いている。

アリスたちが避けようと橋の左に寄ったら、後ろから「待て!」と鋭い声がかけられた。

商人は驚いて馬を止めたが、呼び止められたのはアリスたちであるようだ。

騎士団長が王太子とアリスを背中に隠すようにして振り向いた。

そこにいたのは、マレイン王国の兵士が五十人ほど。

数列になって橋のたもとまで塞いでいる。

(パトリックたちが、おとりだと気づかれてしまった……?)

兵を率いるようにして一歩前に出た男は、体格がよく厳めしい顔付きをしている。

ここまで全速力で駆けてきたと見え、呼吸を乱しているが、騎士団長をひと睨みしてから、ニヤリと口の端をつり上げた。

「危うく騙されるところであったが、間に合ったな。コルドニア王国の王太子殿下、大人しくお戻りください。さすれば我らは手荒なことをいたしません。さあ、こちらへ」

ついに恐れていた事態になってしまったかと、アリスは血の気が引くのを感じ、王太子はアリスの腕にしがみついた。

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