俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
「えっ!? 僕も戦います。馬で逃げるのは、殿下おひとりで――」

言いかけて、王太子がひとりで馬を操れないことを思い出した。

しかしながら、それでも指示を簡単には受け入れられない。

騎士団長は強気なことを言ったが、どう考えてもこの人数をひとりで相手にするのは無謀である。

命を捨てるようなものだ。

男性に比べたら非力でも騎士の端くれ、アリスは自分も戦おうと短剣を引き抜いた。

けれども強引に腕に手綱をかけられ、「行け!」と怒鳴られてしまった。

前に進めぬ旅商人は、戦闘に巻き込まれないように、関所の方へ走って逃げていく。

その直後に前列にいた敵兵六人が、一度に騎士団長に襲い掛かった。

剣が交わる金属音が響き、敵兵の怒号や雄叫びが上がる。

長剣の敵兵に対し短剣で応戦していても、騎士団長はやはり強い。

ギリギリのところでかわしつつ、アリスと王太子に敵の手が届かないよう、見事に攻撃を防いでいた。

だが、いつまで持ちこたえることができるのか……。

王太子は自力で馬の背に乗り、「早くしたまえ!」とアリスを呼んだ。

アリスは馬の鼻面を関所の方へ向けたが、まだ迷いの中にいる。

< 210 / 228 >

この作品をシェア

pagetop