俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
「ロイ騎士団長、私は……」

こんな時に湧き上がるのは、目の前で勇敢に戦う恋人への愛しさだ。

この人を失いたくない。

失うくらいなら、共に戦いの中で死にたいとさえ思う。

(ロイ騎士団長のいない未来を生きたくない……)

そう思うほどに大きく育った愛情が、アリスの騎士としての信念の邪魔をする。

「私も戦いたいです!」

そのように叫べば、一瞬の気も抜けない厳しい戦いを繰り広げながら、騎士団長がアリスを叱る。

「命令に従わねば辞めさせるぞ! まずい、門が閉まりだした。早く行け。アリス、お前も騎士ならば、我ら王国騎士団の誉れを傷つけるな!」

騎士団長の訓練は容赦ないが、語気荒く叱りつけられたことはない。

初めて怒鳴りつけられたアリスは、肩を震わせた。

それによって恋心を頭の隅に押しやり、なによりも遂げねばならないことがあるのだと自分を戒めることができた。

唇を噛みしめたアリスは、すでに王太子がまたがっている馬の背に、身軽に飛び乗る。

「アリュース、急ぐんだ。門が閉まる前に私を向こう側に連れていけ」

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