俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
慌てる王太子を後ろから抱きかかえるようにしたアリスは、手綱を握ると、強く馬の腹を蹴った。

(私……いや、僕は王国騎士だ。王太子殿下のお命を守り、国のために職務を果たす。それが使命。たとえ仲間の騎士や騎士団長を失っても……)

辺りは薄暗く、空には星が瞬いている。

関所には二か所のランプに火が灯され、門の手前にマレインの兵士十人ほどが横並びに立っているのが見えた。

皆、剣を抜いて、突破を防ごうと構えている。

高さ五メートルほどの両開きの鉄柵の門は、役人が数人がかりで動かしており、軋む音を響かせてゆっくりと閉まりゆく。

「アリュース、敵がいるぞ。どうするのだ!」

たてがみを握りしめて王太子が心配しているが、アリスは答えない。

集中力を研ぎ澄ませ、馬の呼吸に合わせようとしている。

馬術の腕前は優れているアリスだが、初めての馬は特徴がわからないので、簡単に操れるわけではないのだ。

(この子は若い。脚力も跳躍力もありそう。指示にも素直に従ってくれる。うまくタイミングを合わせてあげれば、きっとできる)

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