俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
続いてマッシュポテトなどの副菜とデザートまで、それぞれ二人分はあろうかという量を出される。

皿を置いた黒い騎士服の腕を伝って斜め後ろに振り向けば、騎士団長が真顔でアリスを見下ろしていた。

「食べることも仕事のうちだ。残さず食べきれ」

「こんなに!? 無理ですよ。今日は食欲がなくて――」

「弱音を吐いたら辞めさせると言っただろう。返事は“はい”のみだ。わかったな」

有無を言わせぬ目力と威圧感を与えるような重みのある口調に、アリスは眉を下げる。

「はい……」

ニッと口の端を上げた騎士団長は、アリスの肩をポンと叩いてから食堂を出ていく。

それを見送ったアリスは、視線を目の前の料理に戻して嘆息した。

(元気な時だって、これ全部は無理よ。うちは貧しかったから、少し食べればお腹が満たされる体になっているのに……)

「パトリック、食べるの手伝ってくれない?」

周囲に聞こえないように小声で助けを求めたが、パトリックは「ごちそうさま」と立ち上がり、食器を下げに行ってしまう。

聞こえなかったわけではなく、些細なことであっても騎士団長の意志に逆らいたくないという忠誠心が窺えた。

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