俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
食料となる川エビを目当てに兄弟で小川に行った時は、兄よりも多く捕ろうとして夢中になるあまり、流されたことがある。

村祭りでは大人に交じってのワイン樽転がしで三位になり、拍手喝采を浴びたのに、優勝できなかったと悔し泣きした。

そんな負けん気の強さは今も変わらず、悔しさに鼻の付け根に皺を寄せたアリスは、スプーンの柄を強く握りしめた。

大盛りビーフシチューの皿を引き寄せると、勢いよく食べ始める。

(意地悪されたって、絶対に辞めない。ここで辞めたら、負けたみたいじゃない。それによく考えたら、美味しい料理をこんなに食べられるなんて幸せよ。喜んで食べてやるんだから……うっぷ)

戻しそうになりつつも、アリスは根性で食べ進める。

そこに、事情を知らない従騎士が通りかかり、目を丸くした。

入団年数の浅い従騎士たちは任務と訓練時以外の武装を許されていないが、彼は腰に騎士団の紋章のついた片手剣を携えているので、古顔なのだろう。

「気持ちのいい食べっぷりだな」と感心し、「どんどん食べて大きくなれよ」と笑って側を通り過ぎていった。


翌日の午後も、アリスは訓練場で汗を流している。

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