俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
誰かが入ってきたようで、泡だらけの頭で焦って立ち上がる。

湯けむりの中、近づいてきたのは逞しい裸の青年で、三歩ほどの距離まで来てその顔を確認できた。

ロイ騎士団長である。

肩や腕、胸の筋肉は美しく盛り上がり、腹筋は見事に割れている。

その下は……視線を下げそうになったアリスは、ハッとして慌てて後ろを向いた。

同部屋のパトリックたちが着替える際に、上半身の裸を見ることはあるけれど、全裸の男性と対面するのは初めてである。

顔に熱が集中し、鼓動は激しく鳴り立てていた。

加えて沐浴中の今は、貫頭衣の下にサラシを巻いていないので、胸の膨らみに気づかれてしまう恐れもある。

「すみません、すぐに出ていきますので」

胸を隠すように抑えて、アリスは焦る。

その背に騎士団長が、ごく普通の口調で声をかけた。

「急ぎの書類に目を通していたら遅くなったんだ。俺のことは気にせず、沐浴すればいい。髪が泡だらけだぞ」

沐浴の順番は、基本的に上官からである。

普段の騎士団長はおそらく、夕食後にすぐ湯を浴びると思われるが、そういった理由で遅くなる日もあるらしい。

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