俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
「ああ、気持ちがいいな……」

ため息交じりに吐き出された声に、男の色気を感じてしまい、アリスの鼓動はどこまでも速く鳴り立てる。

(落ち着け、私。ロイ騎士団長は、同性。同性の背中を洗っているだけなんだから、こんなのときめくことじゃない……)

自分は男だと繰り返し心に言い聞かせ、必死に平静を保とうとしているが、無理なようである。

アリスの葛藤に気づかない騎士団長が、気分よさそうに言う。

「たまには人に身を任せるのもいいものだ。ついでに全身、洗ってくれ」

(全身って、前の下の方も……? そ、そんなの無理だっぺーっ!)

動揺に鼻息を荒くしつつ、心で叫ぶアリスであった。


沐浴室で騎士団長と鉢合わせた日から十日が立つ。

ここは王都の郊外で、周囲にはオリーブ畑が広がっている。

何百本も植えられているオリーブの木は手入れが行き届いておらず、上へ上へと伸びた枝のてっぺんまでは五、六メートルほどありそうだ。

これでは収穫しにくいだろう。

収穫はまだ二か月ほど早いとみられ、まだ熟していない青い実がたくさんついている。

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