俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
「これでマシな生活ができるな。親父、町に買い物に行かねぇ? 俺の靴、底が抜けそうなんだ。新しいのが欲しい」

「兄ちゃんずるいぞ。俺もかっこいいナイフを買いたい。馬の蹄も削れて、腰に下げたら、いかしてるやつ」

父の周囲に集まった家族たちは、あれもこれも欲しいと盛り上がり、誰ひとりとして縁談に反対してくれない。

両手を強く握りしめたアリスは、うつむいて体を震わせている。

(デイブだけはどうしても嫌なのに、家族のために犠牲にならなきゃいけないなんて……そんなの嫌。健気な娘じゃなくて、ごめんね!)

ドンと足を踏み鳴らしたアリスは、家族たちを指さして思いの丈をぶつける。

「オラ、こんな村嫌だっぺ! 王都へ出るだ!」

決断したらすぐ行動。

自分の部屋に入り、貯めた小銭と着替え、毛布一枚を麻袋に詰めたアリスは、驚いている家族を尻目に勢いよく家を飛び出した。


野宿をしながら歩いて王都に着いたのは、家を飛び出してから十二日後のこと。

「ここが王都。うわぁ、すごい……」

アリスは長旅の疲れも吹き飛ぶほどに目を輝かせている。

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