俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
悪党と直接剣を交えることがなさそうなのは、まだ未熟であるからに他ならない。

危険は薄いとはいえ、初任務の緊張にアリスはごくりと唾をのむ。

突入は、完全に夜が明けてからで、五十人の騎士たちと一緒に息をひそめ、アジトを見つめていた。

十分ほどすると、朝もやは薄くなり、オリーブの実の青さや建物の薄汚れた外壁の色がはっきりと確認できるほどに明るくなった。

「準備はいいな。行くぞ」

声を落として号令をかけたのは、騎士団長だ。

その表情に険しさはなく、むしろ穏やかにも見える。

アリスのように過剰に緊張していては、判断力に支障が出るということなのか。

その平静さは、いくつもの修羅場を経験してきた猛者だけが持ち得るものかもしれないとアリスは思い、頼もしく騎士団長を見ていた。

オリーブ畑の中から鉄柵へと移動した騎士たちは、内側からかんぬきが掛けられた門の前に立つ。

比較的小柄な騎士のひとりが大柄な騎士の肩に上って、四メートルほどもありそうな柵を越え、敷地内に下りる。

そして、難なくかんぬきを外した。

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