俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
音を立てぬように慎重に門を開け、四組に分かれた騎士たちが突入のために配置につく。

ロイ騎士団長は、屋敷の裏側の勝手口の前だ。

アリスは鉄柵の内側に入らず、建物の裏手が見える離れた場所にひとり、中指の長さほどの笛をくわえて立っていた。

もし柵を乗り越えて逃げようとする悪党がいたら、笛を吹いて知らせろと指示されている。

騒ぎを聞いて、近隣の農家の人たちが様子を見に来る可能性もあり、そのような場合に、危ないから離れるようにと言う役目も与えられていた。

「突入!」

騎士団長の一声で、四十人の騎士たちが一斉に動く。

勝手口の戸は蹴り破られ、窓も割られた音がする。

アリスのいる場所からは見えないが、正面の玄関ドアも同じであろう。

事前調査によると、中にはコズメル盗賊団の男たちが三十人ほどいるはずで、たちまち騒ぎになる。

怒鳴り声や家具が倒される音、剣が交わる音もアリスのところまで聞こえてきた。

強い緊張の中で、屋敷を見つめているアリスだが、張り詰めていた気が次第に抜けていく。

(あれ? もしかして私の役目って、不要なんじゃ……)

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