俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
窓を破って逃げ出す悪党がいても、高い鉄柵は越えられず、門に向けて走っていく。

突入部隊ではない騎士たち九人がそこで待ち構えており、逃げ出そうとしていた盗賊団の男の悲鳴が聞こえたので、騎士たちに倒されたことが窺えた。

活躍する騎士たちとは違い、アリスだけはオリーブ畑の中で、ポツンと突っ立っている。

そこに悪党が逃げてくる気配はない。

安全地帯から捕獲劇を見学しているだけの自分に気づき、アリスは頬を膨らませた。

(私だけ仕事をしてない。初任務だと張り切っていたのに……)

おそらくアリスの実力を鑑みての騎士団長の判断だと思われるが、悔しさは消せない。

なんのために腰に真剣を携えているのか。

左胸の騎士団の紋章も、嘆いている気がする。

アリスがくわえている笛には紐がついており、それを首にかけている。

この笛を吹くことはないだろうと決めつけ、アリスは口から離した。

縄で後ろ手に縛られた悪党が、ひとりふたりと屋敷から出され、騎士たちに連れられて行くのが見える。

この分だと、十分もかからずに全員捕縛できるのではないだろうか。

「私も活躍したかったな……」

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