俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
この任務にパトリックは参加していない。

少々得意げに自分が選ばれたことを話して出てきただけに、なおさら残念に思う。

アリスがため息をついた時……口髭を生やした三十歳くらいの悪党がひとり、勝手口からこっそりと出てくるのが見えた。

その男は周囲を警戒しつつ、石積みの外壁の風車小屋まで急いで移動し、扉を開けて中に身を隠した。

アリスの他に、気づいている騎士はいない。

ひとり取り逃していることを伝えなければと思ったが、急ぐ必要はないだろう。

風車小屋に隠れても、鉄柵の外には逃げられず、言わば袋のネズミであるからだ。

(後で言えばいいよね。まだ建物内で戦いは続いているようだし、そっちを優先させないと……)

ガラスの割れた窓や壊された勝手口から、戦いの様子を垣間見ることができる。

両手に短剣を持って振り回す盗賊団の男を、騎士のひとりが難なく倒す……かと思いきや、仲間の悪党が後ろから襲いかかった。

(危ない!)

ヒヤリとしたアリスだが、サッと間に入って斬撃を弾き、悪党の腹に蹴りを入れて床に沈めたのは騎士団長であった。

「後ろにも気をつけろ」

「はい、すみません!」

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