俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
気合が空回りしてコズメルしか目に入らず、うっそうとしたオリーブの枝が邪魔であることに気づけなかったのだ。

(失敗した……もしかして、チャンスがピンチに?)

「こんなところに伏兵がいやがったのか。危ねぇ。だが、お前、弱そうだな」

ニヤリとしたコズメルは、腰に下げている革のホルダーから二本の短剣を引き抜くと、素早く動いてアリスに斬りつけてくる。

「わわっ!」

なんとか体を捻ってかわしたが、次々と繰り出される攻撃に逃げ回るのが精一杯で、剣を交えることさえできない。

相手は騎士団が手を焼いてきた窃盗団の親玉である。

見習い従騎士のアリスより戦闘力が上なのは、戦う前からわかっていたことだ。

(どうしよう。助けを呼ぼうにも笛を吹いている余裕もない。このままだと、やられてしまう……)

コズメルの右手から振り下ろされた短剣を屈むようにしてかわし、左手の攻撃はオリーブの木の陰に飛び込むようにしてすり抜けた。

アリスの唯一の長所といえば、小柄で身軽な体型を生かした、すばしっこさであろうか。

攻撃は下手でも、逃げるのはうまい方かもしれない。

< 86 / 228 >

この作品をシェア

pagetop