浅葱の花にとまる蝶

言うが早いか、男は刀を抜き襲いかかってきた。

普通、相手が武器を持って襲いかかって来て更に自分が丸腰だったら少しは怯むだろう。

だが、蝶にはそんな普通は通用しない。

なぜなら、

(っコイツ女を何だと!?)

(そもそもぶつかったのだってあなたが酔ってたからよね!?)

(あ〜もう、あったまきた!!!!)







究極のお人好しだからだ。

隙だらけの構えで私を袈裟斬りにしようと向かってくる男の懐に入り袷を掴む。

(からの…)

(背負い投げ〜!!!!)

某おかまさんのアレ、いただきました。

ろくに受け身も取れずにダァン、転がる男。

よし。

「彼女はぶつかってしまったことに対して謝ったでしょう!?それを体で払えなんて有り得ない!!最低!!それに、丸腰の人相手に刀で斬りかかってくる人居る!?有り得ないからね!?死んじゃうよ!?ほら、分かったら彼女に謝って!!」

息継ぎなしでこの分量。

モールス信号か。

白目をむいて転がっている男を叩き起して女性の前に引きずって行く鬼t…蝶。

「ほら!謝りなさい!!」

「わ、悪かった…」

「聞こえな〜い!!!!」

「ひっ、す、すみませんでした!!」

「はい、よく出来ました。お姉さん、この人も反省してるみたいだしもう大丈夫だよ」

にこっと笑って話しかけるが足元に転がっている男は泡を吹いて転がっている。

蝶は基本、誰にでも優しいが曲がったことをする人は嫌いなのだ。

ぶん投げて曲がった性根を叩き直したくなる。

それでも、一方的に痛め付けたりしないのは蝶の優しさなのだろう。

…たぶん。泡吹いてるけど。
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