悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

 昼食後、ふらふらと自室に戻ろうとするアリスを、ルークが呼び止めた。

「アリス、大丈夫か。ふらついてる」

 肩に手を回して支えるルークに、アリスはこくんと頷いた。

「大丈夫。寝不足なだけ。今から休ませてもらうわ」

 アリスはジョシュアの看病で、昨夜は眠っていない。大きな目の下にクマができていた。

 亜里は病棟勤務だったので夜勤もたびたびあり、しんどいながらも不規則な生活に慣れていた。

 しかしアリスは、そこまでの体力がない。

「アリス、君が倒れないか心配だ。無理はしないでくれ」

 ルークの眉間に皺が寄っていた。

「もちろんもちろん。今世はゆるゆる過ごすって決めているんだもの。無理なんてしないわ」

「今世?」

 聞き返した声は、アリスに届かなかったようだ。彼女はもう、半分夢の中にいた。

「夕飯の時には起こしてちょうだい」

 自室のドアを開けたアリスを、ルークはベッドの傍まで送っていく。

「そんなに短時間でいいのか」

「夜型になっちゃうよりはいいはずよ。じゃあね」

 ベッドに潜り込むと、アリスはすぐにすうすうと寝息を立て始めた。

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