悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
ルークはその寝顔を、静かに見下ろす。
(不思議な女性だ……)
今まで見たこともないスキルを使い、不思議な道具を召喚するアリス。
なぜ医学を学んだわけでもない彼女がそのようなスキルを駆使することができるのか、ルークは不思議に思うようになった。
最初は、自分の役に立つ妻がほしいだけだった。けれど今は、アリス自身に興味を持っている。
今まで他者に深い関心を持てなかったルークは、初めての感覚に戸惑っていた。
(この人はこんなところに連れてきてはいけなかったのかもしれない)
罪悪感に胸が軋む。
(俺が現れなければ、もっと幸せな生活ができただろうに)
少し冷たそうな印象を与えるプラチナブロンドに、アイスブルーの瞳。
特殊スキルだけではなく美貌も兼ね備えた彼女は、自分にはもったいないように思えた。
だからといって、離縁して実家に帰してやる気持ちにはなれなかった。
(ごめんな。俺には君が必要なんだ)
ルークはそっと、無防備なアリスの白い頬に口づけた。