Your Princess

毎朝、食堂に行くたびに。
シュロさんに自己紹介をして。
あの驚いた表情と、「そのお顔はどうしたんですか？」という表情を見なきゃいけないのか…。
そう思うと、行く気が失せる。

屋敷の外には興味があると思っていたけど。
結局は、傷つくだけなんだ。
パンケーキを口に入れると涙が出そうになった。
新しい環境についていけない。
「ご馳走様でした」
食堂を出る。
と、階段の前に蘭が立っていた。
「おまえの予定表」
「予定表…？」
思わず、蘭の言葉をオウム返ししてしまう。

目の前に表示された紙を受け取ると。
一週間のスケジュールがざっくりと記入してある。
家庭教師が週4日にマナー講座なるものが1日。
楽器練習が１日。
休みは１日。
…何コレ？
「俺の嫁になるってことは、教養がなきゃ駄目ってことだ」
大きな目で私を見る蘭。
そういえば、コイツ。きっちりとスーツ姿でビシッと決めた格好だ。
「おまえ、学校行ったことがないんだろ？　ちゃんと勉強したほうがいい」
「……」
だから、どうして上から目線で物事を言うのか。

学校に行きたくとも。
行けなかった…と言ってほしい。

ぎゅっと予定表の紙を握りしめる。
蘭と喋るだけでイライラする。
「俺は仕事だから。またな」
「……」
ああ、大嫌いだ。
あんな、男！！