特殊護衛団の最強姫
「剣で矢を弾いたら、その衝撃で飛散した矢の欠片があなたを襲うかもしれない。そうでなくとも、あなたを危険に晒す可能性がいくつもあった。」
「そんな可能性、ほとんどゼロに近いだろう。」
「ええ。...しかし、ゼロでは無い。」
きっぱりと言い切ったルーカスの言葉に、心臓が締め付けられるような気分になる。
「リオにとってのゼロは、自分の身を犠牲にする事だったようですね。」
ルーカスは、女が運ばれて行った方向をただじっと見つめていた。
脳裏に浮かぶのは、矢に貫かれた女の安心したような顔。
『私は、何があってもあなたのことを必ず護ってみせます!それだけは約束できる!』
いつか言われたその言葉を、俺は信じてなんかいなかった。
どうせ人は裏切ると最初からそう思い込んで、あいつと関わることさえ拒否していた。
でもそれは大きな間違いだったと、今になって気づく。
そうだ。
あいつは言っていた。
俺を裏切るなんて選択肢は元から無い、と。
私の命は貴方のものだ、と。
「なら、死ぬな...!」
絞り出した声はひどく震えていて、自分の愚かさを嫌というほど思い知らされる。
まっすぐな目で俺を見つめる美しい女。
頼むから、こんなところで死んでくれるな。
俺にはもう 祈ることしか出来なかった。