みずあめびより
「そ、それは・・・ちょっと・・・。」

───でも、葉吉さんとのこと誰かに知られるのも困るし・・・どうしよう、何か他のこと・・・仕事を手伝うとか、食事をおごるとか?でも二人で食事はちょっと・・・。

衣緒は膝の上で両手を握りしめながら、折衷案を提案しようと思考を巡らせていたが、新貝はそんな彼女を見下ろして呆れたように、しかし楽しそうに言った。

「もう、しょうがないな。」

「!!!!!!!!!!」

彼は衣緒の頬にふわっと口付けると出入口に向かった。まるで最初からそうするつもりだったかのように。


二人とも帰り支度はして来ていたので、エレベーターに乗り1階に向かう。衣緒は早く着いてほしいと願いながら階数表示を見つめるけれど、その数字は徐行運転でもしているのかと思うくらい、かなりゆっくりとしか減っていかない。

「そんなに早く着いてほしい?」

新貝に心を見透かされ、ドキリとする。

「俺にそんな態度とっちゃっていいのかな~?真中さんに言っちゃおうかな~?」

斜め上を見ながら愉快げに言う。

「お、お願いします。言わないで・・・!!」

思わず彼の腕を掴んで顔を見つめ懇願していた。

「ふ~ん。」

新貝は不敵な笑みを浮かべ視線を衣緒に向ける。

「ここでしてもよかったかもね。しちゃおっか?」

何をする気なのかはその表情でわかった。
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