みずあめびより
カフェスペースで散々迷った挙げ句選んだカップを持ち小さなテーブルに向かい合って座る。二人共自分個人の好みではなく会社の商品候補として気になるものを選んだ。

「彩木さんは結局それにしたんだ。」

「はい。好きな写真や文字が入れられるマグカップ、よくあるけどやっぱりいいですよね。これはさらに本体の色や持ち手や底の形も選べるのがいいです。内側にも絵が入れられるし。これはサンプルですけど、実際に注文してみたいな。葉吉さんのは・・・。」

「俺は機能性で選んだ。保温・保冷してくれて、倒れにくくて、割れにくくて、茶渋がつきづらいやつ。」

「見た目もシンプルでおしゃれで、どんなお部屋にも合いそうですね。」

「実際に日常的に使うと、より機能が実感しやすいだろうな。」

そう言って鈴太郎がひと口すすると、衣緒も自分のカップに口をつける。

「あ~柚子茶ホッとする。美味しいです。」

「俺も柚子茶飲むか迷ったんだよな。一口もらってもいい?」

「どうぞ。一口じゃなくてたくさん飲んでください。柚子がこれでもかってほどたくさん入ってますよ。」

「俺のブレンドハーブティーも美味いから飲んでみて。」

カップを交換して普通に飲んだ後に二人ほぼ同時に気づく。

───間接キス・・・!

「・・・お、美味しいですね。このブレンド。」

「う、うん。俺も今度やってみよう。」

「ご自分でブレンドされるんですか?すごい!」

「よかったら今度うちに飲みに・・・いや、会社に持ってくよ。」

───本当はうちに来てほしいけど。

「・・・ありがとうございます。楽しみにしてます。」

───今、『うちに』って言いかけた、よね・・・。

心が静かにざわめいた。
< 115 / 253 >

この作品をシェア

pagetop