みずあめびより
隣に座り直しあの日あったことを話す。

「・・・それって、俺が迷路であいつに便乗して、その・・・キス・・・しようとしたから、俺への当て付けだろ・・・。エレベーターで煽るようなことしたのも・・・。ごめん。俺が自分の気持ちはっきり表さなかったから。・・・俺、上司だし年上だから、落ち着いてるふりっていうか、大人ぶってたけど・・・本当はこんなに人を好きになったことなくてどうしたらいいのかわからないんだ。彩木さんが屋上でのこと話したいってメールくれた時も、新貝と付き合うことになったっていう報告かと思って、仕事を言い訳に逃げた。正直言うと、告白した時だって抱きしめたかったし、返事だってすぐにほしかった・・・でもそういう俺を見せたら幻滅されるかなって・・・。」

会社でいつも冷静で落ち着いている鈴太郎とは全く違う、余裕のない切羽詰まった表情と声。そんな彼の素の姿を目の前にした衣緒の口から、抑えきれない気持ちが言葉となってこぼれ出た。

「・・・幻滅なんてしませんよ・・・私も葉吉さんのこと好きだから・・・。」

「!!!!!!!!!!」

ごく自然に発せられたその言葉に、彼の表情は一面、驚きに変わる。

「・・・でも、だから一緒にはいられないです。」

「なんで!?」

苦しそうな表情で顔を伏せる衣緒の顔を鈴太郎が覗きこむ。
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