みずあめびより
「風呂あがりに何か飲んだだろ?」

彼女の唇はほんのり甘かった。

「フルーツ牛乳を飲みました。」

「懐かしいな。こういうとこ来ないとなかなか飲まないよな。」

「買ってきましょうか?」

「いや、いい、こっちで・・・。」

鈴太郎はそう言うと素早く彼女に口づけた。

「・・・!!!」

衣緒は彼の顔が離れると思わず自分の唇に触れてしまう。唇も顔も全身も熱くて、くらくらしてくる。

「うん。これで周り見回した意味あったな。」

鈴太郎は穏やかにそう言って歩き出す。衣緒は頬を真っ赤に染めたまま彼の後について歩いた。



「じゃ、おやすみ。」

「おやすみなさい。」

部屋の前の廊下で別れる。部屋に入って歯を磨き、荷物の整理や次の日の準備をして寝ようとすると携帯が鳴る。鈴太郎からのメールだった。

件名には『明日の朝起きたら見る用』とあり、本文には『これ見たら今日の事が夢じゃなかったってわかるだろ?スマホだったら動画にしたんだけど。』とある。矢印の下ボタンを押しスクロールすると写真が添付されている。

「!!!!!!」

その写真を見て思わず目を疑った。
< 131 / 253 >

この作品をシェア

pagetop