みずあめびより
「でも、私今から仕事するからあんまり景色見ないと思います。」

「え?」

彼女はパタン、とテーブルを出すとその上にノートパソコンを置いた。

「出張の報告書まとめておきたいんです。」

「月曜日でいいんじゃないか?・・・もしかして来る時も新幹線で仕事してた?」

「はい。出展する企業やクリエイターを調べていました。私、要領悪いから予習と復習をきちんとしないと駄目なタイプで・・・今はザッとまとめて、月曜日に細かいところつめます。帰るまでが出張ですから。」

「・・・出張らしからぬこともしちゃったけど・・・な。」

「!!!」

鈴太郎の一言に衣緒の顔が一気に赤くなる。

「・・・ごめん。仕事しようとしてるのに。」

「お、お土産、今城さんが希望されてたの、あってよかったです。試食したら美味しかったですし。」

衣緒は慌てて話題を変えた。

「真中に食い尽くされないようにしないとな。・・・俺も仕事しようかな。」

鈴太郎も彼女と同じようにテーブルを出した。



新幹線が駅に到着する。新幹線の改札を出て在来線の改札を通ると、オブジェが飾られた広場のようになっているところで向かい合う。

「・・・じゃあ私、こっちなので・・・お疲れ様でした。」

「・・・ああ、お疲れ様。」


衣緒が踵を返し目的の電車の方に向かおうとすると手を掴まれた。驚いて振り返る。

「・・・仕事はもう終わり。ここからはプライベートだろ?『もう一泊』しない?俺の家に。」
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