みずあめびより
「・・・私、子供の頃から考えていたことがあるんです。こうやって手をグーにすると手の中に暗闇が出来ますよね?そうしたらこの瞬間、ここに宇宙ができているんです。星が出来て、生物が生まれて・・・。でも、手を開いた瞬間・・・。」

手をパッと開く。

「その宇宙はなくなってしまう。私達から見ると一瞬ですけど、その宇宙ではこちらで言う何億年も続いていたんです。こんな宇宙がこの世界の色々な暗い場所に出来ているかもしれません。バッグの中とか、ソファーの隙間とかあちこちに。それで、今銀河系があるこの宇宙も、どこかの暗い隙間にある宇宙なのかもしれない。地球には何億年って歴史があるけど、誰かにとっては一瞬の出来事で、一秒後にはこの宇宙も消えてなくなってしまうかもしれない。」

「・・・すごい、途方もない話だな。」

「だから今この瞬間、大好きな人と一緒にいられることはものすごい奇跡なんです。よく『この広い宇宙の中で出逢えたのは奇跡』みたいに言うけど、もっともっとすごいことと言うか・・・。」

衣緒は俯いていた顔を上げ鈴太郎の目をまっすぐに見た。

「そうだな。宇宙の真実はどうあれ、出逢えたことに感謝しなくちゃいけないよな・・・。」

彼は優しく微笑む。

「はい・・・。」

しばらく見つめ合って幸せを味わった。



「安西さんのお土産いいのあってよかったですね。見た目も素敵ですし。」

「何が好きかわからないから食べ物が無難だよな。」

チケットのお礼として安西には惑星をテーマにしたチョコレートやクッキー、せんべいなどがアソートされたお菓子セットを買った。

「あ、俺トイレ行ってくるから待ってて。」

「はい。」

廊下に置いてある宇宙に関するイベント等様々なパンフレットを見て待っていると後ろから声をかけられた。

「衣緒ちゃん!?」

「??(こう)くん!?!?」
< 168 / 253 >

この作品をシェア

pagetop