みずあめびより
「・・・すごい久しぶり。その髪留め、まだ使ってるんだね。『中学生の頃に100均で買った』って言ってた。それが目に入って、もしかして衣緒ちゃんかなって。」

男性が衣緒に近付き懐かしそうに話しかける。

「・・・うん。小学生の頃から使ってた定規もまだ使ってるよ。ひらがなで名前シールついてる・・・。」

「キャラクターの絵がついてて、目盛りが消えかけたからって自分で書いてたやつ?相変わらず物持ちいいんだね。」

「・・・まさか会うとは思わなかったからびっくり。」

衣緒は戸惑いを隠せなかった。

「俺も驚いたよ。うちの会社も展示出してるんだ。」

「会社名・・・変わったの?」

「うん。大分前に・・・。」

恒はそう答えながら、(いぶか)しげにこちらに近づいてくる鈴太郎に気づいた。

「衣緒?どうした?」

「あ・・・。」

衣緒は隣に来た彼を気まずそうに見上げる。

「こんにちは。」

そんな二人を見ながら恒が挨拶をする。

「・・・こんにちは。」

鈴太郎はとりあえす挨拶を返してから衣緒を見た。

「あの、彼は昔の・・・宇宙の研究をしていて・・・。」

彼女は絞り出すように途切れ途切れに説明する。

「・・・。」

───この空気・・・まさか、元彼か?
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