みずあめびより
「あれ?葉吉さん、ビール飲まれるんでしたっけ?」

新貝が聞くと鈴太郎は顔を伏せて言った。

「今日は何て言うか・・・。外で開放的な気分だし・・・。」

───そうじゃなくて、モヤモヤして飲みたい気分なんだよ・・・。

「そうですよね!今日は皆で大いに飲みましょう!彩木さんはお酒全然飲めないんでしたっけ?サワーとかもありますよ?もし、ふらふらになっても、俺送りますから。いや、そうならなくても一緒に・・・。」

新貝は彼女を見つめて言った。鈴太郎はそんな彼を思わずじっと見てしまった。

「・・・いえ、私、お酒飲むとじんましん出ちゃうから・・・。採血の時のアルコール消毒でかぶれちゃうし・・・。」

「あはは、それ、相当ですね!でも彩木さんらしくていい!」


席に戻ると真中と玉川がSNSに載せる写真を撮っていた。

「遠近法で真中さんがグリルごと食べちゃおうとしてるように見える写真にするんです!」

玉川はビールで顔を赤くして楽しそうにしながら言った。

「玉川ちゃん、こんな感じ?」

「もっと口開けてください!・・・そうそう、いい感じ!」

真中もノリノリで盛り上がっている。

「彩木さん、俺達も記念に一緒に写真撮りませんか?」

新貝が言った。

「・・・あ、はい。」

「葉吉さん、撮ってもらえますか?」

彼は鈴太郎にスマホを差し出した。

「・・・ああ。」

───いや、撮りたくないけど。

「・・・もっと寄ってください。」

「!!」
「!!」

新貝が衣緒の手を掴んで自分に引き寄せると、彼女だけでなく鈴太郎も驚いた顔をした。

「・・・撮るぞ。3、2、1。」

鈴太郎は慌てて顔を無表情に戻し適当にカウントするとシャッターを押した。

「ありがとうございます!どんな感じですか?お、彩木さん表情固いけど、なかなかいいですね!これ、メッセージアプリで送りますよ。交換しましょう。コード、俺出します?それとも読み取りましょうか?」

「・・・すみません。私、ガラケーなんです。」

「ガラケー!?今時!?いや、本当、彩木さんっぽい!いいなぁ。じゃあ、メアド、教えてください。」

「えーと、io・・・」

彼女がメールアドレスを言い、彼が写真を添付して送るところを見ながら、鈴太郎は苦手なビールをぐいっと飲み干した。いつも以上に苦く感じた。
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