もう誰かを愛せはしない
それからおじいちゃんと礼羽のことやユウキさんの話をした後、私は実家に帰ることにした。



おじいちゃんは、気が済むまでいていいって言ってくれたけど、礼羽のおじいちゃんにお世話になるワケにもいかない。



私の今帰れる場所は、実家しかない。

そう思ったから。





お父さんやお母さんに怒鳴られても、受け入れてもらえなくても

とにかく謝らなきゃ。




震える指でインターホンを押すとガチャという音と共にお母さんが出てきた。



お母さんは私の顔を凝視したまま固まっている。




「あの…お母さん、私……」



何を言えばいいのかわからなかった。




ここまで育ててくれた両親を裏切って出て行った自分を後ろめたくて


でも、受け入れて欲しくて…





無言のまま見つめ合っていると、お母さんは優しく微笑んだ。
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