Magic Love Sea〜俺がお前のこと、攫ってやるよ〜
「ミラが可愛いからじゃねえか?」

オーウェンの言葉にミラが「そ、そんなこと……」と顔を赤く染める。ディートフリートはムッとしてミラを背後から抱き締めた。

「ディート……」

「いいだろ?こうしても。もうじき邪魔者が来るしな」

ディートフリートの言葉通り、ヘンリーがやって来る。そしてディートフリートたちを睨み付けてミラを乱暴に抱き寄せて帰って行った。その時のミラの顔はとても悲しそうだ。

『私、好きでヘンリー様と結婚するわけじゃないの。ヘンリー様と本当は結婚したくない!』

いつかのデート中にミラが言っていた言葉をディートフリートは思い出す。そして、もしかしたら一緒に来てほしいと言えば来てくれるのではないかと希望を抱いていた。

「ミラと一緒に旅できたらいいのにな」

「それは無理だろ。ミラは結婚しなくちゃいけないんだし。……まあ、できたら仲間になってほしいけどさ」

ズキンとなぜかディートフリートの胸が痛む。もうすぐミラは結婚式を挙げる。こんな風に会える時間はもう少ない。
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